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未来思考 [未来予想]


未来思考 10年先を読む「統計力」

未来思考 10年先を読む「統計力」

  • 作者: 神永 正博
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/02/05
  • メディア: 単行本


未来思考

日本の合計特殊出生率は、2008年時点で1.37%ということで人口減が予想されています。
人口減が日本の経済成長にどのような影響を及ぼすか
どうするのがいいのかがこの本のテーマです。

統計によると、教育費が、第2子以降の出産にブレーキをかけている可能性を
示しているようです。

また結婚率も悪化していることも影響しています。
2005年の統計では、男性にの15%、女性の7%が生涯結婚しないようです。
このままでは、5人に1人が独身のまま終わるようになります。
しかし、結婚希望は男性87%、女性90%がいずれ結婚するつもりと答えているため
結婚できない原因があるということになります。

原因として「仕事がない」「仕事が安定しない」ということあるようです。
正規雇用では25~29歳の34.7%、30~35歳の59.6%が結婚しているのに対して
非正規雇用では、それぞれ14.8%、30.2%と正規雇用の約半分になっています。

一方、企業の側からいえば、「解雇したくても解雇できない人員」があり
2009年の完全失業率5.2%に対して実際の失業率は9%程度あるという話を紹介しています。
景気の悪化で、経営が苦しくなる事業所に対して雇用調整金を厚生労働省が
支給しています。

これがなければ234万人が解雇されている可能性があるそうです。
さらに09年の雇用保蔵者数は、607万人に達しているようです。雇用保蔵とは、
社内にどれだけ労働者があまっているかを表しています。

雇用保蔵者数をくわえると本当の失業者数は14.3%に達するそうです。
さらに非正規雇用は、年率0.78%ずつ増えてこのままいけば2030年には
労働者の約半数が非正規雇用ということになるそうです。
そうであれば、少子化への歯止めはないということになります。

非正規化雇用が進んでいるのは、経済のグローバル化により製造業が労働力の安い中国に
移っている
ことが原因です。これはアメリカが日本に製造業を自動車や半導体産業の職を奪っていった
ことが繰り返されていると説明しています。

しかし、グローバル化より技術の進歩が格差を拡大しているそうです。定形業務はIT化で
置き換えられている。

高スキル高賃金労働と低スキル低賃金労働に労働は2極化しているというのが結論です。
日本の経済成長を考えると、生産年齢人口は年間66万人ずつ減少し、2030年には2006年の

84%まで減少します。
しかしGDPへの労働力人口の減少の影響はそれほど高くないと結論ずけています。
その理由として、GDP成長率を分解した結果(ニッセイ基礎研究所2005)をもとにすると
労働者数の数より、労働時間や、資本効果、全要素生産性が寄与が大きいということをあげて
います。

著者の結論としては、
日本は技術力はある。これは誰も異論がないところです。
問題は、制度面での遅れであると結論づけています。

Sonyが電子ブックReaderをアメリカで発売せざるを得ないのは
電子ブックとして売られるコンテンツが日本にはなく、アメリカには新刊を電子ブックにする
ことができた。
このように制度的な問題のイノベーションの解決できるリーダが日本の成長を促して
くれるようです。

しかし、リーダの実現を待つだけではいつまでたっても解決できないですから
各人ができることをやっていくといことになります。


未来思考
10年先を読む「統計力」
2010年2月28日 第一刷発行
著者  神永正博
発行者 小島 清
発行所 朝日新聞出版
281ページ
¥1600E 

未来思考 10年先を読む「統計力」

目次
プロローグ 1
Part1 ▼少子化と結婚

第1章 日本の少子化、世界の少子化 13

なぜ子どもが減ったのか 14
コウノトリはどこへ 17
少なく産んで、しつかり育てる 22
なぜ子どもが減っているのか 28
先進国の出生率を比べてみよう 30
教育費と出生率の関係 32
少子化ヲ克服セヨ 37

第2章 結婚しません? 45

未婚が増えている 46
長すぎる春 48
子どもは何人欲しいですか 51
生物学的限界 54
結婚しない/できない理由 58
結婚の三大リスク 60

第3章 産む自由、生まれる義務 77

世代会計-----再配分の問題
就学前教育の充実を! 81
大学が高すぎる 83
このざまはなんだ 86
子どもさえ増えればいいのか 90
統計的差別 95

Part2 ▼都市と高齢化 97

第4章 人はどのように動いているか 97

鳥の目でみた日本 98
うつりゆく三大都市圏 100
Tokyo 101
Nagoya102
Osaka 104
北の国から2010 106
どこに住むか、誰と暮らすか 112
成熟する地方 117
秋田の現在、私たちの未来 120
都会と田舎 122

第5章 都会は強力な磁場である 127

人を引きつける力 128
ストロー効果 129
超LSl都市 131
街場の理論 136
過去から現在 139
そして未来へ 144
列車の車窓から 147

第6章 都市壊滅!? 149

耳をすませば----地震の足音 150
地震用語の基礎知識 151
70%は本当か 153
考えるヒント 156
ゆらぎの構造 162
正しく恐れよう 169

Part3 ▼仕事と経済 171

第7章 仕事というぜいたく 171

社内失業 172
蜘妹の糸 174
非正規雇用が止まらない 178
非正規へと続く道 180
最低賃金を上げよ、さらば救われん? 183
「同一労働同一賃金」は正しいか 185
リスクを織り込む 187
きれいはきたない、きたないはきれい-----ワークシェアリング 190

第8章 もし世界がひとつの村だったら

相対的貧困率=貧困の指標? 196
相対的はく奪 201
先進国における貧困とは? 204
非正規増加のミステリー 207
日本の政策がまずいのか 210⊥
グローバル化を追い詰めろ  213
かつてのアメリカ 216
先人の心情 218
モノ作りは、まず安いものから 220
逃げ遅れる人たち 221
公害を引き受ける「世界の工場」 227
失業する中国人 230
貧困を抜け出すチャンス 231
格差をもたらす共犯者 233

第9章 日本は変わるのか 239

労働市場の二極化 240
これまでのビジネスモデルが通用しない時代 245
フランスの知識人 250
人口減のインパクト 252
成長のレシピ 255
日本が発展した秘訣 258
失われた10年の犯人 260
勤勉こそ美徳? 262
急募:戦略家 264
技術力をムダにするな 266

エピローグ 270

あとがき 274

参考文献 281

<著者紹介>

神永正博(かみなが まさひろ)
東北学院大学工学部電気情報工学科准教授。
1967年東京生まれ。
東京理科大学理学部数学科卒業、京都大学大学院
理学研究科数学専攻博士課程中退。博士 (理学/
大阪大学)。
東京電機大学助手、日立製作所中央研究所研究員
を経て現職。
2009年、『不透明な時代を見抜く 「統計思考
力」-小泉改革は格差を拡大したのか?』(ディスカ
ヴアー・トウエンティワン)で、ビジネス書大賞マスコミ・
ブロガ一業を受賞。
この他の著書に、『学力低下は錯覚である』、『情報セ
キュリティの理論と技術』、『Javaで作って学ぷ暗号技
術』(以上、森北出版)、『カードセキュリティのすべて』
(日本実業出版社)、『計算力をつける微分積分』、『計
算力をつける線形代数』(ともに内田老鶴圃)がある。
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