自分を変える教室

スタンフォードの自分を変える教室

• 作者: ケリー・マクゴニガル
• 出版社/メーカー: 大和書房
• 発売日: 2012/10/20
• メディア: 単行本

スタンフォードの自分を変える教室


自分を変える教室

自分の気持ちや考え方を科学的に整理してなぜ理不尽な行動をするのかを

理解できる本です。

自分がどのように、そして、なぜ自制心を失ってしまうのかを理解する

ことは、失敗を繰り返して後悔する日々を修正するために重要なことです。

自制する心を訓練するためには、瞑想が良いようです。

瞑想がを行うと注意力、集中力、ストレス管理、衝動抑制、自己認識という

スキルが向上すると著者は説明しています。

瞑想のやり方は、

１）動かずじっとすわる
２）呼吸を意識する
３）呼吸している感覚をつかみ、気が散りはじめたら意識する

自制心は、疲れていると弱くなるようです。

さらに、意志をなにかに対して使うと、別のことに対して自制が効かなくなります。

24時間禁煙をするとアイスクリームが我慢できなくなるというようなことです。

このように自分の行動を律する仕組みは、体の本能に組み込まれています。

その仕組をこの本で知ることで、不合理な行動を抑制することができます。

そのような不合理な行動をもうすこしあげると

何か目標を実行するために計画すると、その計画を立てただけで満足して

実行までいたらないことがあります。

何かをしようと考えただけで、した気になってしまうのが

人間の性質のようです。

だからなかなか実行に至らなくて計画だおれに終わることが多いのです。

モラルライセンシングという正しいことをしたくないという気持ちが人には

あるようです。

自分たちに害を及ぼすような行動を「ご褒美」とおもいます。

自分が「やりたいこと」を「すべきこと」だと信じてしまうのです。

退職後のために「貯蓄をしたい」という願いを満たすと一方では

「買い物したい」という欲求が頭をもたげてきます。


脳の報酬システムとして、ドーパミンが快感中枢に働きかけ、

快感が得られそうな気がします。

しかし、ドーパミンは、報酬を期待させる作用がありますが

得たという実感は得られないということです。

現代社会では、ドーパミンを放出させる仕組みがたくさんあります。


携帯電話、テレビゲーム、インターネットは、脳の報酬システムを利用して

意図的に利用してプレイヤーをとりこにします。

私たちの暮らしはテクノロジや広告をつかって日夜何かを

求め続けながら満たされない日々を送っています。

私達が自制心を手にいれるためには、人生に意義を与えてくれる

本当の報酬と分別をなくしてしまうようなまやかしの報酬を

きちんと区別しなければなりません。


欲望は、行動を起こすために脳が仕掛ける戦略です。

欲望は自己コントロールに対する脅威になれば

意志力の源にもなると著者は説明しています。



スタンフォードの自分を変える教室
2012年10月31日　第1刷発行
2012年11月25日　第5刷発行

著　者　ケリー・マクゴニガル
訳　者　神崎朗子
発行者　佐藤靖
発行所　大和書房
342ページ
￥1600E


スタンフォードの自分を変える教室

スタンフォードの自分を変える教室　目次

Introduction 「自分を変える教室」へようこそ
-----意志力を磨けば、人生が変わる 15
　科学と実践から導き出された見解 17
　「自分はどう失敗するのか」を知る 19
本書の使い方-----「科学者」として自分を観察する 22
1つの章からは1つの戦略のみ実行する 25
最初の課題 26
マイクロスコープ あなたの　「チャレンジ」を選んでください 27

第1章 やる力、やらない力、望む力
-----潜在能力を引き出す3つの力 29
　本能に流されずに生き抜く 31
　出世も勉強も寿命も「意志力」が決める 33
　前頭前皮質があなたをコントロールする 34
マイクロスコープ　できない理由を特定する37
脳は1つでも「自分」　は2人いる 37
マイクロスコープ　もうひとりの自分に名前をつける 40
本能を目標達成に利用する 40　
　第1のルール　「汝を知れ 43」
意志力の実験　「選択した瞬間」をふり返る　46
　失敗する瞬間に気づく　47
　脳の灰白質を増強する　48
意志力の実験　5分で脳の力を最大限に引き出す　52
　自分を何度も目標に引き戻す　54
第2章　意志力の本能
-----あなたの体はチーズケーキを拒むようにできている　58
　体が勝手に　「衝動的」　になる　60
　こうしてあなたは誘惑に負ける　64
マイクロスコープ　なぜ「やりたくないこと」をしてしまうのか？　67
　ひと呼吸おいて考える本能　68
　「自己監視システム」が脳にエネルギーを集める　69
　意志の強さは　「心拍変動」　でわかる　70
　食べ物で　「意志力の保有量」が変わる　72
意志力の実験　呼吸を遅らせれば自制心を発揮できる　74
　「運動」　すれば脳が大きくなる　76
　この2つを　「しなければ」意志力が上がる　79
意志力の実験グリーン・エクササイズで意志力を満タンにする　80
「6時間未満の睡眠」が脳を弱くする　82
意志力の実験　眠りましょう　84
「する」が失敗したら「しない」を決める　85
意志力の実験体にリラクゼーション反応を起こす　87
ストレスは　「一瞬」　でやる気を奪う　88
マイクロスコープ　ストレスでいかに自制心が落ちるかを試す　90

第3章疲れていると抵抗できない
-----自制心が筋肉に似ている理由　93
自制心は筋肉のように鍛えられる　95
マイクロスコープ　意志力の増減を観察する　98
「大事なこと」をやる時間帯を変える　99
甘いものが　「自己コントロール」を回復させる　100
「1分の自制」の消費エネルギーはミント半分以下　103
脳はエネルギーをお金のように使う　104
腹が減っていると危険を冒してしまう　107
意志力の実験‥．お菓子の代わりにナッツを食べる　109
「意志力筋」を鍛える　110
「難しいほうを選ぶ」ことを繰り返す　112
意志力の実験　目標に関係のある強化法をやってみる　113
限界を感じるのは脳にダマされているだけ　115
「意志力の限界」は超えられる　118
マイクロスコープ疲労感を気にしない　120
「望む力」が限界を引き延ばす　121
意志力の実験「望む力」をつくりだす　122
第4章罪のライセンス
-----よいことをすると悪いことをしたくなる　126
　人は「まちがった衝動」を信用する　128
「モラル・ライセンシング」が判断を狂わせる　131
しょうと考えただけで、した気になってしまう　133
人は正しいことは「したくない」と感じる　135
マイクロスコープ　自分の　「言い訳」を知る　137
脳が勝手に「やるべき目標」を切り替える　137
「やることリスト」がやる気を奪う　140
意志力の実験　「なぜ」を考えれば姿勢が変わる　142
サラダを見るとジャンクフードを食べてしまう　143
「意志が強い」と思っている人ほど失敗する　146
マイクロスコープ「あとで取り返せる」と思っていませんか？　148
人には「明日はもっとできる」と考える習性がある　148
意志力の実験　明日も同じ行動をする」と考える　151
後光効果が「罪」を「美徳」に見せかける　152
意志を骨抜きにする「魔法の言葉」　155
マイクロスコープ　誘惑の「キーワード」を見つける　157
エコ活動が罪悪感を鈍らせる　157
罰則をつくればルール破りが増える？　159

第5章脳が大きなウソをつく

-----欲求を幸せと勘ちがいする理由　164
人が刺激を「やめられない」脳の部位　166
快感の「予感」が行動を狂わせる　168
ドーパミンは「幸福感」をもたらさない170
「携帯ドーパミン装置」が生活を埋め尽くしている　175
マイクロスコープ．ドーパミンの引き金を探す　177
目新しいものほど「報酬システム」を刺激する　177
本能を操作・誘導する人たち　180
ドーパミンを刺激する　「戦略」　を見抜く　182
マイクロスコープ　心を動かすものの正体を暴く　184
退屈な作業を　「ドーパミン化」　する　185
意志力の実積　「やる力」とドーパミンを結びつける　188
「欲しいもの」　は反射的に不安を生みだす　188
マイクロスコープ　欲望のストレスを観察する　190
脳内物質に操られて破滅的な行動をし続ける　191
意志力の実験　快感の誘惑に負けてみる　194
欲望がなくなった人間はどうなるか？　195
ほんとうの報酬とまやかしの報酬を見分ける　198

第6章どうにでもなれ
----気分の落ち込みが挫折につながる　202
大半の　「ストレス解消法」　は意味がない　204
意志力の実験　根拠のある方法を実行する　206
死亡事故を見たらロレックスが欲しくなる　208
タバコの警告表示はなぜ　「逆効果」　なのか？　210
マイクロスコープ　あなたが恐れていること」は何ですか？　212
ニュースをやめたら夜食が減った　213
「どうにでもなれ効果」-----一度失敗するともっとダメになりたくなる　215
マイクロスコープ　つまずいたとき自分に　「何」を言っていますか？　218
なぐさめの言葉で「どうにでもなれ効果」が緩和される　219
自分に厳しくしても意志力は強くならない　221
意志力の実験　失敗した自分を許す　223
「変わろうと思う」　だけで満足してしまう　225
「いつわりの希望シンドローム」が起こす快楽　228
マイクロスコープ　「決心するだけ」を楽しんでいませんか？　229
マイクロスコープ　決意を持続させるためのシミュレーション　230　

第7章　将来を売りとばす
-----手軽な快楽の経済学　233
「すぐに」手に入れないと気がすまない　236
マイクロスコープ　将来の報酬の価値を低く見ていませんか？　237
「5年後の成果」など脳は望んでいない　238
目に入るから　「報酬システム」が作動する　239
意志力の実験　「10分待つ」と何が起こるか？
10分ルールでタバコを減らす　243
「割引率」が10年後の成功を決める　244
意志力の実験　割引率を下げる　247
「将来の報酬」を自分に意識させる　249
背水の陣で「もうひとりの自分」と戦う　250
意志力の実験　逃げ道をなくす　253
「あなた2・0」　に会う　255
つねに　「将来の自分」を過大評価している　257
マイクロスコープ　「万能の自分」を待っていませんか？　260
2カ月後の約束なら　「より多く」を引き出せる　260
「将来の自分とのつながり」を知るテスト　261
バーチャル体験で貯金が増える　263
意志力の実験　未来に行って「将来の自分」　に会う　266

第8章　感染した！
-----意志力はうつる　271
　肥満はこうして感染する　273
マイクロスコープ　あなたの「感染源」を発見する　275
「他人の欲求」を自分の欲求のように感じる　275
　脳は「目にした失敗」をまねたがる　277
マイクロスコープ　誰の「まね」をしていますか？　280　
「目標感染」が起こる条件とは？　280
意志力の実験　意志力の「免疫システム」を強化する　283
ルール違反の「形跡」が自制心を低下させる　284
意志力の実験　「鉄の意志をもつ人」のことを考える　285
「好きな人」から感染する　286
マイクロスコープ　誰の影響を最も受けていますか？　288
「ろくでなしの仲間」にはなりたくない　289
よいことをするより仲間をまねたい　290
マイクロスコープ　努力するのを「ふつう」にする　293
「恥の効果」を利用する　293
落ち込んでいるときは誘惑に負けやすい　296
プライドが意志力の「保有量」を増やす　297
意志力の実験　「認められたい力」を作動させる　299
「最後の授業」で言い渡した課題　299

第9章この章は読まないで
-----「やらない力」の限界　303
好印象をねらうほど不愉快なことを口走る　305
思考の「モニター機能」が破滅を導く　307
頭に浮かぶことは真実だと思い込む　310
マイクロスコープ　「皮肉なリバウンド効果」を検証する　312
　コントロールしなければコントロールできる　312
　「考えるな」と言われたことを「実行」してしまう　315
ダイエットは体重を　「増やす」行動　317
マイクロスコープ　自分に何を禁じていますか？　319
「思考」を抑えつけず「行動」だけ自制する　320

　意志力の実験　欲求を受け入れる-----ただし、従わないで　322
「禁止」　を「実行」　に変えればうまくいく　322
意志力の実験「やらない力」を「やる力」に変える　324
「衝動」を観察して自制心を強化する　326
意志力の実験「欲求の波」を乗り越える　330
意志力に最も大切な3つのこと　332

第10章おわりに
-----自分自身をじっと見つめる　335
訳者あとがき



神崎朗子
（かんざき・あきこ）
翻訳者。上智大学文学部英文学科卒業。外資
系生命保険会社の社内翻訳等を経て、第18回
DHC翻訳新人賞優秀賞を受賞。訳書に『ぽくた
ちが見た世界』（柏書房）、『ベスト・アメリカン・短
編ミステリ』（共訳、ディーエイチシー）がある。

ケリー・マクゴニガル
（KellyM（GonigaしPh・D・）
ボストン大学で心理学とマスコミュニケーション
を学び、スタンフォード大学で博士号（心理学）
を取得。スタンフォード大学の心理学者。専門は
健康心理学。心理学、神経科学、医学の最新
の研究を応用し、個人の健康や幸せ、成功およ
び人間関係の向上に役立つ実践的な戦略を提
供する講義は絶大な人気を博し、スタンフォード
大学で最も優秀な教職員に贈られるウォルター・
Jづア賞をはじめ数々の賞を受賞。各種メディア
で広く取り上げられ、「フォーブス」の「人びとを最
もインスパイアする女性20人」に選ばれる。ヨガ、
瞑想、統合医療に関する研究をあつかう学術専
門誌「インターナショナル・ジャーナル・オブ・ヨガ・
セラピー」編集主幹を務め、著書に『痛みを和ら
げるヨガ一心を落ち着け、痛みを緩和するため
のシンプルヨガ』（未邦訳）などがある。