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外国語で発想するための日本語レッスン [思考力]


外国語で発想するための日本語レッスン

外国語で発想するための日本語レッスン

  • 作者: 三森 ゆりか
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 単行本



外国語で発想するための日本語レッスン

外国語で発想するための日本語レッスン

欧米人は論理的、日本人は情緒的な感覚で物事を判断するという
ことが言われています。
日本では、以心伝心、腹芸、などの言葉が使われています。
相手の気持ちを汲んで行動することが日本人同士の間では
求められる場合があります。
しかし、日本人以外の国の人の常識はそうではありません。
やるべきことを明確に指示し、なぜそうすべきかを伝えなければ
思ったとおりに行動してくれません。
なぜ日本は、情緒的な感覚で判断し、外国の人は論理的な説明が必要なのかを
この本が説明してくれます。

それは、国語教育のあり方にありました。
著者は、ドイツで国語の教育を子供時代に受け、その時は
そのやリ方についていけなかったが、再度、社会人になって
商社の人間として東ドイツで工場を建てる一員として働いていた
時に理解できました。仕事の議事録では、なぜそのような根拠で述べているかについて
どこで発言したかという事実にそって議論されていました。
事実に沿った記述に基づき議論するということが
子供時代に理解できなかったドイツ式の国語教育
テキストの分析と解釈という方法を理解することにつながったと言っています。

つまりドイツに限らず外国の国語教育はテキストに書いてある文章を
もとに、テキストに書かれている事実に基づいて説明する
訓練を行うものだそうです。
ひとつのテキストをもとに作者の考えの流れを議論する。その根拠を
テキストに書かれている内容をもとに説明する。このようなやり方の
訓練受けているのです。

日本語の国語教育では、もう少し漠然としています。
作者の意図を自分の考えで
述べるようなやり方です。そして答えは問題を作った作成者の考えに
一致していないと正解ではないというところがあります。
本の中に例があるのですが、ある小説の作者に子供がいて、テストの問題に
その作者の意図をとう問題がでた。
テストの答えについてその子供が作者である自分の父親にどのような
意図でその小説を書いたかを聞くと、テストの答えとは違う意図だと
答えたという。つまり、問題作成者の感性でつくられた問題は、
個人の感性でつくられたもので、文中のテキストに基づいた
事実で論証できるような問題でないというのが日本式の国語教育です。

私は、だから日本語の国語教育が間違っていると言いたいのではありません。
日本人は国語教育の中で、個人の考えに基づきながら大枠で物事の意図を
捕まえる訓練をやってきているのです。
文章の中のエッセンスを自分なりに解釈して完全に論証できなくても
方向性を一致させたり、多くの人が解釈する考え方を
学ぶやり方を習得しているのではと思いました。
外国の国語教育のように事実に基づいて倫理的に説明できる思考法は
どんな人にも同じ考え方を理解させることができます。
つまり論理的であるということは、ある程度考えが
その事実に縛られる結論しか出せない
という結果になります。

逆に日本人のように個人の考えをもとに、文章の意図を
一致させるという文化では、
日本人には、わかるが他の外国人には、
論理的に説明できないところは残る。
それが日本人の中だけではわかるという独特な文化を育てていると
いえるのではないでしょうか。
いま、日本的な感性が受け入れられてきています。
例えば、漫画や、アニメ、ファッションの世界などです。
このような分野でも、論理的ではないが、
大枠で正しい真理に到している日本的な思考法が
使われているのではないでしょうか。
美しい、かわいい、おもしろいなどの思考や考え方は、
論理的なだけでなく、飛躍がある方が
深みがでてくるのではないでしょうか。

日本人は、論理的な考え方、説明の仕方が
不足しているという指摘があります。
グローバルな時代に仕事をグローバルにやる時、
人に協力を求めるためには
相手に理解して貰う必要があります。そのため、
論理的な「テキストの分析と解釈」という
方法を理解する方法を取得する事が重要です。
しかし、自分が仕事を創っていくときは、
日本的な感性に基づく
創造性が必要であり、求められているものです。
外国の人が日本的な感性を身につけるのは、難しいでしょう。それは
小学校から大学までの16年間の時間の中で育まれたものだから。
しかし、論理的な考え方は、訓練すれば、身につくものなので
日本人のほうが感性と論理の両方を身につける可能性は高いです。
多くに日本人が、この本の「テキストの分析と解釈」の論理的な考え方
を学び、感性と論理を両方身につけ
今後のグローバルな活躍ができると考えます。


外国語で発想するための日本語レッスン
二〇〇六年五月二〇日
二〇〇六年六月 九 日
発行所 株式会社 白 水 社
著 者 三 森 ゆかり
219ページ

外国語で発想するための日本語レッスン

外国語で発想するための日本語レッスン 目 次
はじめに5

第一章外国語で発想するために必要な「読書技術」 13
 1 欧米の「読書技術教育」ってどのようなもの? 15
 2 日本の読書教育 18
 3 欧米の読書技術教育の実例 24
 4 外国語で発想するためになぜ読書技術が必要なの? 39
 5 さまざまな教科に応用される読書技術 47
第二章 絵の分析 55
 1 「絵の分析」とは? 57
 2 「絵の分析」の例 60
 3 「絵の分析」の方法 67
 4 「絵の分析」をやってみよう 77
 交通標識 77/イラスト 81/絵本 87/絵画 94
第三章 本の読み方 105
 1 物語の構造 108
 2 「テクストの分析と解釈・批判」の方法 118
 3 「テクストの分析と解釈・批判」をやってみよう
   (1) 「たき火」 -場所・季節・人物の分析 132
   (2) 「赤ずきんちゃん」1人物とその相互関係と役割、名前の分析 145
   (3) 「人形」 -場の設定 164
   (4) 「牝獅子の葬式」 - 登場する動物が象徴するもの 168
   (5) 「静かな家」 -視点を読む 177
   (6) 「サンサルバドル」 - 内容の分析 190

おわりに 207
あとがき 217
分析用の作品リスト ⅱ




著者紹介
三森ゆりか(さんもり・ゆりか)
 つくば言語技術教育研究所所艮 そのほか,麗澤中学・高等学校,茨
城県立中央看護専門学校,日本サッカー協会,朝日カルチャーセンター
などで講師を務める.また,平成13年度文化庁主催「国語施策懇談会」,
平成14~18年度文化庁主催「日本語教育大会」の講師も務める.
 東京生まれ.中学,高校の4年間を旧西ドイツで過ごす.上智大学外
国語学部ドイツ語学科卒業.株式会社丸紅勤務後,上智大学文学部博士
前期課程中退.1984~1988年に外交官の子弟を対象とするドイツ式作
文教室,1990年につくば研究学園都市に「つくば言語技術教室」(現「つ
くば言語技術教育研究所」)を開設する.

【著書】
『言語技術教育の体系と指導内容』(明治図書,1996年)他2冊
『論理的に考える力を引き出す 親子でできるコミュニケーション・
  スキルのトレーニング』(一声社,2002年)
『論理的に考える力を引き出す(2)絵本で育てる情報分析力』(一声
  社,2002年)
『イラスト版ロジカル・コミュニケーション 子どもとマスターする
  50の考える技術・話す技術』(合同出版,2002年)
『外国語を身につけるための日本語レッスン』(白水社,2003年)
『子どものための論理トレーニング・プリント』(PHP研究所,2005
  年)

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